股関節の動きを知る
今までは身体の動きをみていきましたが、ここからはYさんの身体の部分部分に焦点をあてていきましょう。
1.股関節の可動範囲
2.股関節の筋力
さて、ゴルフでは「股関節」というキーワードが頻繁に出てきますが、実際にYさんの股関節の動きはどうであったのでしょうか?
★股関節の内旋の動きが硬い
★股関節周囲の筋力が全般的に低下
1.Yさんの股関節の可動域
左 | 右 | |
股関節 屈曲 | 125° | 135° |
屈曲(SLR) | 80° | 90° |
伸展 | 15° | 15° |
内旋(座位) | 15° | 20° |
内旋(腹臥位) | 25° | 25° |
外旋 | 45° | 40° |
2.Yさんの股関節の筋力
左 | 右 | |
股関節 屈曲 | 4+ | 4+ |
伸展 | 5- | 4+ |
内旋(座位) | 4+ | 4+ |
外旋 | 5 | 5 |
Yさんの股関節の内旋という動きは、約20°です。これは参考可動範囲というものと比較すると、約25°少ない数値となっています。日本整形外科学会が出している股関節内旋の標準参考可動域は45°となっています。
内旋の動きを座位と腹臥位(うつ伏せ)で確認すると、若干の違いが生じているのはお尻の筋肉の緊張具合による差であり、ストレッチをすると可動範囲が変化するのでお尻の筋肉の硬さが内旋の動きに関与していることが分かります。
Yさんの股関節内旋の制限については股関節の形状(股関節前捻角)が関係していることも考えられるので、コンディショニングを進めながら可動範囲の経過をみていくことにします。
股関節の筋力については、徒手筋力テストを用いて判定しています。股関節の外旋はしっかりとした力がありましたが、その他の動きに関しては中等度の力に対して保持できるレベルでした。粗大な動きでは力を発揮できますが、分解した動きで行うと力を発揮しにくく代償動作を抑えたトレーニングを行っていくことが必要だなと感じました。
股関節の屈曲に関しては、両側同じ判定となっていますが左の方がやや力を入れにくいようでした。
これらのことから、股関節の課題がいくつかみえてきました。
1.股関節の内旋の可動範囲が狭い。筋肉の硬さの影響があるが、形状についても考慮する必要が在る。
2.股関節周囲の筋力低下(筋機能低下)が認められ、個別の動きを代償動作なく行えるようにしていく必要がある。
粗大な動きや、複雑な動きではなく、各々の関節の動きや筋肉の動きをまずはしっかり使うことができるようにしていきたいと思います。